特殊鋼の知識
錆について

ステンレス鋼は、錆びない鋼です、何故錆びないのでしようか、ステンレス鋼が錆びないではなくて、その表面に出来ている"酸化皮膜"つまり一種の錆である薄い膜が、安定で変化しないからなのです。アルミニウムもそうです、やはりごく薄い"酸化皮膜"が出来るのです、この皮膜は緻密で無色透明、しかも地金に固く密着しているのです。クロム、ニッケルなどのメッキに使われる材料は全てそうです。それでは標題の"錆"とは何でしょうか、これも酸化皮膜です、例えば銅です、これは青緑色です、ところがこれは地金の銅とはちがって、見た目にも綺麗ではありません。熱間圧延した鉄の赤茶色の表面もそうです、同じ"酸化皮膜"でも、錆と言われる物と、錆びないと言われる物とがあって、その区別は綺麗か、汚いか、と言う事によるものの様です。
そして、酸化皮膜というのは、厳密に言えば金属が酸素などと化合した化合物であって、金属ではありません、けれども地金とほとんと同じで区別しにくい物は、錆とは言われないで、錆ないとされているのです。一番問題になるのは鉄の錆です。鉄の錆には、俗に言う"黒錆"と"赤錆"とが有ります。黒錆Fe304は酸化皮膜そのもで、安定であり、硬くて、良く密着しているので鉄の保護をしてくれるのですが、綺麗ではないので、錆扱いなのでしょう、昔から兵器等には人為的にこれを付けて鉄を保護しています、ですから錆には入らないかもしれませんね。
赤錆Fe203は、一般に言う"錆"の代表の様なものです。まず外観が見苦しいものです、それだけではありません、此の錆は、鉄の内部へ進行していくのです、鉄の酸化物、鉄と酸素の化合物であって、その化合物が進んでいくのです、そして、本体の鉄をボロボロにしてしまうのです。錆の他に"腐食"と言うものがあります、この腐食も化学変化です、腐食と言う言葉が使われるのは、その化学変化が元の金属とは全く違ったものになり、その金属をボロボロにしてしまうからなのでしよう。ですから鉄の赤錆は腐食とも言われています。